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昨日の夕方、携帯にMailが入ってきた。
未分類フォルダに表示があるという事は、頻繁にはやり取りしない 相手である。 開けてみれば、ここのところ疎遠になった知人からだった。 「暇な時に電話下さい。 訊きたいことがある…」 むかし、テレビドラマで 『3人の母』 というのがあった。 ワタシにも3人の母が居る。 ・実の母 ・義理の母 そして、 ・ネットの母 である。 電話の内容は”ネットの母”の訃報だった。 昨日、知人が彼女の入院する病院に電話を入れたところ、応対に 出た看護婦さんが、言い難そうに答えたのだという。 自宅に行くために、ワタシに住所を打診してきたのだった。 会社にある地図で大体の目星をつけた。 路地を少し入り、見当をつけた家の扉に見つけたのは”忌中”の張り紙 だった。 「ああ、やっぱり…」 呆然と立ち尽くすワタシたちを見て、近所の人々が声をかけてくれて、 通夜・葬儀の場所を教えてくれた。 通夜の場所には既に誰も居らず、一組の男女が椅子にしおれて座って いた。ワタシたちの気配に振り向いたその顔は、見慣れた顔に瓜ふたつ だった。 事のなりゆきを話すと、驚いた彼女は”ネットの母”の長女。 すぐさま顔を拝ませてくれた。 四角い囲いから覗く”母”の顔は、今まで見たことが無いくらい少女 っぽかった。 「おっかさん、逝くの早すぎるよ…。 ワタシ、まだ約束が残ってる…」 つい、独り言が出た。 生前の”母”は、とにもかくにもエネルギッシュ。 話す時は機関銃のように言葉が飛出し、聞く時は大きな目で瞬きもせず 穴の開きそうなほどワタシの顔を覗き込む…。 持病持ちの似た者同士、占いの結果にワタシが弱音を吐くと、 「逝く時は、絶対私が先よ!」 その約束は守られた。 本人が賑やかな分、とにかく湿っぽい雰囲気が大嫌い。 葬祭ホールに一人安置されていたのが寂しいから、 「あんたら、私に愛想しにおいで!」 と疎遠になった知人共々呼び寄せたに違いない。 おまけに長女の勤務先は、ワタシの勤務先とビルが隣り同士。 不思議な縁まで呼び寄せる。 ”ネットの母”は、みんなの母でもあった。 今日の葬儀の参列者の数たるや、エレベータ・ホールに臨時の椅子を 出しても立っている人が居たほどだ。 親類・縁者の参列者も多く、孫たちも 「ママ、ありがとう!」 と叫び、決して「おばあちゃん」とは呼ばせていない。 葬儀の最後、お棺に花を敷き詰めた。 感謝の寄書きがされた色紙が2枚。お人形が添い寝。 そっと触ったほっぺたは、血色は良かったけれど冷たくて、やはり 生きている人のものじゃない。 霊柩車が出発する時、泣くかな?と思ったが泣かなかった。 みんなが手を合わせて拝んでいる時に、そっと手を振った。 「おっかさん、ありがとう。 さよなら…」 今頃は、20cm四方の箱の中で、窮屈な思いで居ることだろう…。 >>>JUN/19/'05 (SAT) ; Written by "Kylin"
by kylyn_3
| 2005-06-18 23:34
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